• テキストサイズ

~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第3章 ~痛い、恋 ~ (烏養 繋心)



初盆だった今年の夏、
綾の家には、親戚が集まった。

久しぶりに揃うイトコなどもいて、
それぞれの近況報告など話も弾む。

中には既に結婚して
子供がいるイトコもいるらしく、
そうなると綾達の親世代は、
子供の結婚や孫のことが
話題の中心になる。

『だよな。その流れ、よくわかる。
俺もそうやって今まで相当、
親とか親戚集まるたびに
"結婚しないのか攻撃"受けたもんなぁ。
…もう、今となっちゃ、
みんな気を使って、その手の話題、
敢えて避けられてる気がするけど。』

『うちは今、イトコが20代が多いから、
まさに、ちょうどその話題が旬みたい。』

その場にいる綾の居心地の悪さを想像して
申し訳ない気持ちになる。

…その辛さ、よくわかるから。

そして綾のその居心地の悪さは俺が、原因だ。

なんとも言いようがない。
黙って、話の続きを聞く。

『男の人はみんな飲んでてね、
お母さん達は、そのそばに座って
お喋りしながら、ほら、
ビール注いだり料理取り分けたりとか
お父さん達のお世話するじゃない?』

するする。
うちもそうだ。
田舎の盆や正月の、よくある風景。

『で、あたしたち女のイトコ同士は
キッチンに集まって、お皿洗ったり、
おつまみの準備したりしながら、
自分達用にコーヒーとかいれて
デザート食べたりしてたんだけど、』

なるほど、
俺らが飲んだくれてる間、
台所はそういう場になってんのか。
知らなかった。
…いや、そんなことはどうでもいい。

『そこでやっぱり、ほら、
恋愛トークになるんだよね。』

年頃の女子だ。確かにそうだろう。

『みんなで彼氏の話とかしてて、
もちろん私も、話すじゃん。
そんなに詳しいことは言わないよ?

でもほら、
年上か年下か、とか
どこで知り合ったか、とか
何年付き合ってる?とか。
デートにオススメの場所、とか。』

…うまいデザートでも食いながら、
久々に集まった同じ年頃同士で、
わちゃわちゃと恋愛トーク。
そりゃ、話も弾むだろう。
当然、声も大きくなるわけで…

『トイレに行く途中の父に
しっかり、聴こえたらしくて。』

…ベタな展開だなぁ。

そこから先はもう、
聞かなくてもわかりそうなくらい、
ベタベタな展開じゃねぇか。

…一応、黙って最後まで聞くけど。


/ 733ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp