第3章 荒野に芽吹いた花の名は【政宗・家康・光秀・三成】
【光秀】
また信長様の悪い癖だ。
珍しい物や変わった物に目がないあの方が、
今回連れて来たのは、
風変わりな格好で500年先の世から来たという、
夢のような話を真顔で宣う(のたまう)女。
正直、
この俺よりも怪しい。
つまり、
相当に怪しい。
だが、
何度も信長様の命を助けたり、
無防備に何かを守ろうとしたり…
俺たち武士とはまた異なる、この女なりの信念に突き動かされて動き回っているようだ。
無鉄砲なくせにとんでもなく非力。
正義感に溢れた大うつけ。
その姿を眺めているのは、
なかなかに面白い。
まあ器量は良い方だろう。
俺としては、もう少し酸いも甘いも知り尽くした面倒くさくない、後腐れの無さそうな女が好みだから、どうでもいいのではあるが。
信長様が側に置くと決めたようだから
頻繁に関わる女に可愛げと面白味があるのは、
悪いことではない。
いずれにせよ、
信長様の玩具だ。