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君想ふ夜桜《銀魂》

第11章 二度あることは三度ある。いや四度あるかもしれんから気ィ付けろ



愉快な仲間たちが会話しているのとは裏腹に、高杉は何だか昨日とは違う胸騒ぎがしてきた。

「おい!いつここを出た?」

「えっと。あ!1時間くらい前にはすでに。でも30分で帰ると言ってましたが……」

言い終わるよりも先に、高杉は外へ出て行った。

(おかしい……アイツいつも「ごめん待たせた」ってぬかしやがるが、そんな奴じゃねェ)

“私はヅラほど真面目じゃないが、人を待たせないようには心掛けている。手術もスピード勝負だからな”

念のため、この後戦う体力も温存して、山を駆け抜けた。

(何があった……!)





山にて、

「ハァ…ハァ……」

雅は血が流れ出る腹部を抑えて、木の陰で身を潜めていた。

すでに10人ほど敵を仕留めたが、まだ序の口。

他の奴らも、自分のように四方八方影で身を潜めている。

血のにおいに刀と刀が混じり合う金属音。

自然に暮らす野山の動物たちもその異変に気づいたのか、さっきまであった小鳥のさえずりもなくなっていた。

今あるのは、烏のうめき声だけだ。

(やっぱりおかしい。天導衆があんな数でこんな山で待ち伏せなんて)

天人のようなボンクラ集団とは違って、幼い頃から暗殺術を叩き込まれた精鋭。

私の医術はこの場において猛威は振るえない。

今の状況、こっちが圧倒的に不利だ。

(だが、やるしかない…)

雅は、
・・・
何故か血がすでに止まった腹部から手を離す。

・・
コレを見られたのなら、もう倒すしかない……


敵は呼吸を整える余裕も与えてくれない。

木の上から葉っぱではなく刺客がまた落ちてきた。

敵が複数くれば、刀一本だけじゃ足りない。足や周りのものを利用しなきゃ、手が回らない。

私はウエストポーチから改良された麻酔薬入り簡易注射器を取り出して、袖の中に隠した。

敵の斬撃をうまくさばいて、僅かな隙に相手の首元に注射針をさす。

敵がふらついたところを一気に斬りかかった。


(木の上から来られると、こっちが不利になる。だったら…!)

手持ちの小刀を木に刺して、それを踏み台にして上へ登った。

案の定、敵の何人かがそこにいた。

自分が女であるおかげで、比較的身軽で相手より速く動けた。

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