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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


「はー、お腹いっぱい!」

「美味しかったー!」

満足そうな子供たちの顔と
空になった重箱を見て、
政宗も嬉しそうに微笑む。

「そいつはよかった。」

「政宗のご飯は美味しすぎて
ついつい食べ過ぎちゃうね。」
ふふふっと凛が隣で笑った。


「あ!兄上、ウサギがいる!」

「ホントだ!忠宗、行ってみよう!」

「あんまり遠くへ行かないでね。」
また元気に駆け出して行く子供達に
声を掛け、その後ろ姿を見送る。

「政宗、ありがとね。」

「ん?何がだ?」

つい先日まで領地の視察や
書簡の整理、小競合いの戦を
収めたりと休む暇も無かった政宗。

「久々のお休みなのにお出掛けに
付き合ってもらっちゃって。」

一瞬、呆気に取られた政宗は
すぐにいつもの表情に戻り、
クククッと笑い始めた。

「なんだ、そんな事か。」

「お弁当も作ってもらったし‥。」

何故、政宗が笑っているのか
分からない凛に手を伸ばし
ガシガシと頭を撫でる。

「っわ!ちょっと、政宗?!」

「いーんだよ、そんなの気にしなくて。」

そのまま凛を抱き寄せ、
遠くでウサギに夢中になる息子達に
視線を移す。

「俺がそうしたいからやるんだ。」

「政宗‥。」


「それにあいつらは俺達の宝だ。」

だったら俺達が楽しませて、喜ばせて
辛いことも悲しいことも
一緒に感じてやるべきだろ?

「‥うん。ありがとう。」
凛は政宗の胸に頭を埋めると
政宗は優しく頭をポンと撫でた。



「よしっ!じゃあ、遊ぶぞ。」

ニカッと笑った政宗が立ち上がり
子供たちに向けて声を張り上げた。

「秀宗ー!忠宗ー!」

声に気づいた二人が笑顔で
こっちに向かってくる。

「今から追いかけっこするぞー!」
母上が鬼だー!と、政宗が走り出す。

「えっ?!私から?!」
慌ててその後ろを追いかける凛。

「キャハハ!母上がおにー!」

「逃げろー!」

二人の子供達も笑顔で走り出す。

「待てー!」



突き抜けるほど青い空に
暖かな風が吹き抜け、
四人の笑い声が響き渡っては
穏やかに包み込んでいた。



END.

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