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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第11章 二人の宝物 二章


「ああ、母様。おはようございます。」

三成譲りのエンジェルスマイルで
ニッコリと微笑む重成。

「おはよう、重成。」
その笑顔に釣られて微笑むと
重成がキョロキョロと周りを見渡す。

「どうしたの?」

「あ、いえ。読みかけの本が‥。」
埋もれてしまったようです、と
崩れ落ちた本の山を積み直す重成。

「そう‥。」
見る見る内に新しく築かれていく山を
呆然と見ていた凛が
ハッと我に帰る。


「重成、重家はどこにいるか知ってる?」

「兄上は父上と戦術書を読んでいたので‥」
埋もれた本を探しながら、
チラリと部屋の奥に視線を投げる。

「三成くんも居たの?」
凛が重成の目線を追うと、
その先には大きな本の山がある。

「ええ‥。」
重成は目的の本を見つけたのか、
ペラペラと項をめくる。

(‥いけない!)

「重成、先に朝餉を食べてきて!」
目で文字を追い始めた重成に
本来の目的を思い出す。

「ほらほら、お部屋に準備してるから!」
顔を上げた重成の腕を引き、
立ち上がらせると背中を押して
部屋へと促す。

「わかりました。」
渋々といったように廊下を
歩きだした重成を見送ると、
凛は小さくガッツポーズを取る。


「さて、と。」

再び書庫に足を踏み入れると、
気合を入れて大きな本の山に向き合う。

耳を澄ますと、微かに
二人分の寝息が聞こえた。

凛は、上の方から
崩れないように山を切り拓いていく。

(‥それにしても)

積み重なっている本は
どれも戦術書ばかりで、
重家が初陣に出る事を物語っている。

本当なら戦になんて
言って欲しくはない。

しかし、この乱世で生きる為、
術を知りそれぞれが信念を持って
戦に挑むのだと、この何年かで
凛は思い知った。

普段は柔らかい印象の三成も
戦となれば、相当の切れ者で
戦術において類まれなる才能を見せる。


「‥あっ」

考え事をしていたせいか
ふいに手があたり、本の山が
一斉に崩れ落ちていくと

半分程の大きさになった山から
チラリと手の甲が見えた。


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