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【イケメン戦国】✿ 永遠の恋〜華〜 ✿

第16章 お前だけに愛を囁く(明智光秀/甘め)


台所から響いてくる女中達の声に気付いた秀吉さんが台所へやって来た。

「お前達、何を騒いでいるんだ」
少し険しい表情の秀吉さんに驚き、皆居住まいを正して謝罪する。

「軍議は終わったから、片付け頼むな」
秀吉さんが出ていくと、今までの興奮が嘘だったかのように皆テキパキと自分の仕事に戻った。私は広間の膳を下げに行く。
広間にはまだ秀吉さん、政宗、光秀さんが残っていて何やら話をしている。

傍らで黙々と片付けをしていると、
「何をそんなに盛り上がっていたんだ?」
秀吉さんが先ほど騒がしかったことについて聞いてきた。
何て言ったらいいの?男の話で盛り上がっていたとも言えないし。
「すみません、女子的な話だったので言えません」
誤魔化すようにして返事をする。
「…女子的な話?」
首を傾げる秀吉さんとは裏腹に政宗はピンと来たみたい。
「あー成程。誰がいい男だの惚れてるだのって話だろ」

こっちが隠してるんだから言わないでよ!
心の中でモヤモヤしてしまった。
それを聞き流して片付けに集中していると光秀さんが言う。
「お前は誰かに惚れているのか?」
「そんなこと、関係ありません」
「いや、それはそれで面白いからな」
こんな時にまでからかおうとするなんて。

「光秀はやめておけよ」

そんな政宗の言葉に動揺し、重ねた皿を勢い良く床に落としてしまった。
「あっ、すみません!」
割れてしまった数枚の皿の破片を集めていると、指を切ってしまう。ぽたぽたと傷口から血が滴り落ちる。

「大丈夫か!?」
「少し切っただけです。部屋に救急箱がありますから」
声を掛けてくれたのは秀吉さんだった。
でも…そばに来てくれたのは、光秀さんだった。

「片付けは他の者にやらせよう。まずは手当てが先だ」
そう言うと光秀さんは私の手を取り足早に広間を出る。


部屋につくと行燈に灯りをつけ、その下で傷口を確認する。
「あの…大丈夫ですから、戻って下さい」
「少し黙っていろ」
ぴしゃりと言われ、されるがまま手当を受けた。
それを終えると、溜め息をつきながら光秀さんが口を開いた。

「片付けひとつ満足に出来ないとは」
馬鹿にしたような、呆れたような言い方に言い返せない。

「お前に惚れられる男も、とんだ災難だな」


悪びれもせずに薄ら笑っている光秀さんのその言葉に、私の心は何故かひどく傷付いた…。




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