第18章 くりすますをあなたと(三成)
食事中、五百年後のイベントの話を三成はしきりに聞きたがった。
クリスマスの後は、除夜の鐘を聴きながら年越しをして、
春にはお花見をする。
夏には海水浴やバーベキューをしたり、
秋には紅葉を見たり、旅行にはちょうど良い季節になること。
この時代と変わらないこともあれば、ハロウィンという仮装をする日がある事、
それが終わればもうクリスマスプレゼントを何にしようとソワソワしだす。
そんな愛の話を、三成は終始楽しそうに聞いていた。
『でもやっぱり、クリスマスは特別なんだ…。
ごめんね、前に聞かれたとき、大したこと無いって言っちゃって…』
申し訳なさそうな顔をする愛に、三成は優しく微笑んだ。
「いいんですよ。私に気を遣わせないようにと思ったのでしょう。
でも、私は愛様がしたい事や、大切にしている事は全てして差し上げたい。
だから、これからは沢山教えて下さい。新しい知識をつける事は、
私もとても楽しいのですから」
嘘のない三成の言葉に、愛も自然と笑顔が溢れた。
「この、佐助殿がくれたクリスマスツリーをもらっている時の
愛様の嬉しそうな顔が、頭から離れません」
傍には、佐助がくれた小さなクリスマスツリーと、
宣教師からもらった薔薇のロウソクがゆらゆらと炎を灯していた。
「あのお顔を見たときに、くりすますが愛様にとって、
とても嬉しいものなのだと悟りました」
『そ、そんなに嬉しそうだった?
恥ずかしいな…見られてたの…』
「盗み見るような真似をしてすみませんでした。
でも…来年からは、できればくりすますの一番の笑顔は、
私だけが独占したいと思うのは…我儘でしょうか…」
『えっ?』
「ぷれぜんとをもらって嬉しそうな顔にするのは、
私だけがいいと思ってしまいます…」
三成の真剣な顔が愛を見つめる。
『もちろん、三成くんから貰うプレゼントは特別嬉しいよ!
プレゼントって、貰うのが嬉しいんじゃなくて、
選んでる時、きっと自分の事を想ってくれてたんだろうなって思うから…』