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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第16章 織物のように(三成)


秋も深まり、朝晩はすっかり冬を思わせる気温になる。


空を見上げて愛は微笑む。


「今日は綺麗なお月様が見られそう…」


庭では、すっかり色づいた楓が青い空に映えた。


落ちたばかりの葉をそっと拾うと、


「せっかくだから、お膳に飾ろうかな」


そう呟きながら、丁寧に拾って行く。



『愛、何してるんだ?』



夢中で落ち葉を拾っていると、ふいに背後から声がかかった。



「秀吉さん!帰って来たんだね!おかえりなさい。三成くんに用?」


視察で安土を離れていた秀吉が、廊下から不思議そうに愛を見ていた。



『あぁ。今朝戻ったんだ。それで?お前は何してるんだ?』



えへへ…っと子供のように照れ笑いをすると、


「紅葉が綺麗だったから、今日の夕餉のお膳に飾ろうかなって…
三成くんも喜んでくれるかな」


と、恥ずかしそうに掌を広げてみせる。


秀吉は、その様子から、二人が上手くいっていることが手に取るようにわかる。


『食事は愛が作ってるのか?』


「忙しくない時はね。ほら、今日は十三夜できっとお月様が綺麗だし。
三成くんと一緒にお月見しながら食べたいなって思って…。
政宗にも、美味しいお団子の作り方教わったんだよ!」


嬉しそうに言う愛を見て、秀吉は慌てて手に持っていた書物を背中に隠した。



『そ、そうか、今日はもうそんな時期か…ははは…』


急に様子が変わった秀吉に、怪訝な表情を浮かべる愛。



「秀吉さん…どうした…」


『秀吉様!お帰りになったのですね!』


愛の言葉をかき消すように、三成の声が響いた。


「あ、三成くん!お仕事終わったの?」


秀吉へお疑問も忘れて、愛が笑顔になる。


『えぇ。今日は愛様もお城にいらっしゃらないので、
早々に終わらせてきました。
秀吉様、お帰りなさいませ』

三成も屈託無く笑った。



『あ、あぁ。三成、さっき戻った』


秀吉だけはまだ少し狼狽えていた。


『すぐにこちらへいらっしゃると言うことは、何か急ぎが御座いましたか』


さっきまでの和かな顔を消して三成が真剣な顔になった。

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