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イケメン戦国★センチメンタルLOVE

第10章 たんぽぽ(政宗)


「もぉ、政宗には敵わないなぁ」

愛は再び、政宗の御膳からご飯を運ぶ。

『これ、クセになりそうだな。椀は口移しでもいいぞ』
再びふざける政宗に、大きめの芋を無理やり押し込める。

『んぐっ…』
必死に芋を呑み込んだ政宗はお茶を一気に飲むと

『ふっ…意地悪な愛もたまには面白いな』
と言って、楽しそうに笑っていた。




夕餉も終わり、愛は行燈の灯りで反物を照らしていた。
書簡に目を通し終わった政宗が愛の元に来て、

『まだ仕事してるのか?』
と訊く。

「明日縫い始めようと思ってるんだけど、どの生地がいいかなぁ…って」

目の前には、薄い桃色、暖かな黄色、目の覚めるような赤と、
どれも可愛らしい反物が並んでいた。

『随分幼い柄じゃないか?依頼物か?』
政宗もの隣に座って一緒に手に取る。


「ううん。実はね、政宗の大切にしてる仲良しの家臣の方…佐ノ吉さん、
先日女の子が産まれたって喜んでたでしょ?
だから、その子に晴れ着を作ってあげようと思って。
政宗、何色がいいと思う?」

少し驚いた顔で政宗は愛を見た。

『頼まれたのか?』

「違うよ、私がプレゼント…贈り物したいって思ったの。
政宗の大切な人は、私にとっても大切にしたい人だしね」

そう言って、柔らかく微笑む。

愛の頭を優しく撫でながら、
『なんか…そう言われると複雑だな。
嬉しい気持ちと、モヤモヤする気持ちが一緒にくる』

「えっ?」

政宗は、後ろから愛を抱きしめると、
肩に顎を乗せる。

『でも、ありがとな。
あいつ絶対喜ぶぞ。今日も見張台に言った時、
娘の話ばっかりしてたからな』


政宗は昼間の様子を思い出して笑みを浮かべた。

「どの色にしようかなぁ。
春生まれだし、タンポポみたいな黄色もかわいかも。
桃色は女の子なら、もう持ってそうだしな…」

独り言のように言いながら、
右肩に乗る心地よい重さと温かさに盗み見ると
優しい目をして反物を見ている政宗がいた。

「チュッ」

不意に、いつもされているように政宗の頬にキスする。

『お?どうした。そんなに政宗様が好きなのか?』
政宗は動じる気配も見せずに、抱きしめている腕に力を込めた。

「だめだよ?あんまり腕に力いれちゃ。さ、そろそろ寝よっか」



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