第84章 ジャックダニエル
「長谷部、これ‥」
「少々不格好になってしまいました。‥しかし、飴細工とは難しい物なんですね。」
主ちゃんが開いたそこには、ホワイトチョコレートで作った掌程の白いフォンダンショコラ。
と、その上には薄い紫掛かった小さな花が並んでいる。
「大将が好きな花なのか?」
薬研君が覗き込むと、主ちゃんがうっとりと長谷部君を見上げて続けた。
「長谷部、これ藤だよね?」
「はい、主から頂いた懐中時計を模してみました。どうしても藤の花を主へ送りたくて。」
「そっか、花言葉、長谷部も調べたんだね…」
はい、と長谷部君が微笑む。長谷部"も"って……何だろ、この二人だけの世界。悔しいよね。
「おいおい!花言葉なら俺だって送ったろ?忘れないで欲しいもんだぜ!」
「忘れてないよ、栞でしょ?大事に使わせてもらってます!」
今回の任務記録で大変重宝しましたよ!と鶴さんを宥める。