第74章 君がため
「あーぁ、おはようのキスがしたかったんだけどな。」
「はあぁ?ふざけるな、俺の主だぞ。」
ぎゅっと主を抱き締めて燭台切を睨むと、はいはい、と髪を掻き上げる。
「なぁに?朝から喧嘩?だめだよ長谷部、めっ!」
腕の中から顔を出して、両手で俺の頬を引っ張る主は、いつもと変わらない様に見える。
それが嬉しくて、思わず主の頬に口付けた。
「あ!長谷部君、君ばっかり狡いよ!!」
「っえ!?ちょっ‥まっ、んんーー!!」
主の後ろから乗り出した燭台切が、思いきり主の口に齧り付く。
「は!?…燭台切!貴様、押し斬るだけでは済まさんぞ!!」
今日のこいつはどこかおかしい、何がしたいんだ!?