第73章 帷
「それから私は逃げた。全部捨てて、生まれた土地も育った土地も親も妹も全部捨てて、父親だった人が残したこの家に逃げ込んだの。…それで、その日の夜、審神者に選ばれましたって手紙をポストで見付けたんだ。」
ぽろぽろと涙を流しながら話す。
「ちゃん……」
「けど、そうしたから私は審神者になれたんだよ?うちの本丸の子達と、光忠と会う事が出来たんだよ?何も要らないよ、私には皆が居るんだもん!」
………ああ、どうして君は‥
「光忠、ね、笑ってよ?嬉しいでしょ?私はあなた達だけ居たらそれで良いんだから。…ねぇ‥笑って?な、かないで‥」
これじゃ、格好つかないな‥