第93章 白妙
「粟田口の所へ行ったり来派の所へ行ったり…主が行く先々で、本丸の者の仲を取り持つ様に何かしら話をしていたみたいだな。‥そうだ、お前、昼に三日月に何か言われなかったか?」
笑顔でうんうん、と頷いていた燭台切が苦笑いしながら視線をさ迷わせる。
「あー…うん、言われた。主を想う神が鍛刀した刀はどうなると思うかって‥三日月さんて掴めないよね。」
「あれは強いぞ。俺が鍛刀しておいてなんだが、自分でも少し後悔したくらいだ。」
「え、僕の時は冗談だって笑ってたけど本気って事?」
だろうな、と茶を啜ると三日月さんかぁ、手強いなぁ‥と項垂れる。俺にしてみたらお前だって相当なもんなんだがなぁ。ま、絶対にこれだけは言ってやるつもりはないが。
「…あ、そうだ、僕も長谷部君に言っておくように言われたんだよ。」