第93章 白妙
「ちっ‥何だよその顔……もう知らねー!いつどうなるかなんて俺は解らないからなっ!」
お前がそんな風に笑える様になったくらいには信用出来る奴、ってだけ覚えといてやる。ごろんと寝返って背中を向けた不動が、そう小さく呟いた。
主、俺は今貴女の様に笑えたでしょうか?
口元を触って立ち上がる。早く主を見付けよう、それで捕まえて直接伝えるんだ。主の言葉を借りて、俺も大切に想ってるんだ、が必要で大好きなんだと。
だから俺の見えない場所へ隠れるなんて許さないとも。…また小言が多いと笑うだろうか?いや、それでも構わないな。
が笑ってくれるのであれば何だって。
「おい、明石。今し方、ここへ主が来なかったか?」
寝そべった明石の後ろに立ち、勢い良く頭を支えていた左腕を蹴り外す。