第93章 白妙
「主は黒くて太いのが好きだよねぇ……海苔巻きの事だよ?さっき食べて行ったんだけど、その時に、長谷部はどうせ何も食べてないだろうからここへ来たら何か食べさせる様に言われたんだ。」
「せっかく自分で作ったんですから、食べなきゃ損ですよ?」
渋渋、物吉の隣に腰を下ろして青江が差し出した海苔巻きを口へ放り込む。
「……美味いな。」
「うんうん、それで良い。それで主だけどさ、次は竜宮城に行くって言ってたよ。」
「竜宮城…浦島か?」
「ふふ、長谷部さん宝物探しですね!」
宝物、と言われてつい笑みが溢れる。そうだな、主は俺の宝物みたいな人だ。行ってくると言って立ち上がった俺に、手を振って頑張れと言う二人を背に、浦島の元へ向かった。