第92章 夜桜
「じゃあ、早く帰るからあとはお願いね?終わったら歌仙もお着替えよろしく。きっと似合うよ!」
「あぁ、勿論、雅に着こなしてみせるさ。」
「…主、お気を付けて。」
ちらっとこちらを見てから長谷部が頭を下げる。まるで、今言った言葉に(そいつにも)って付きそうな顔でね。
「みっちゃん、急ご!」
僕の手を引き、部屋を出た主ちゃんは一期さんが貼った“廊下は走らない”という張り紙を気にしながら、早足で先を行く。
「主ちゃん、お花見の場所って大体は決めてあるの?僕が皆で、なんて言わなければ決める事も無かったんだけど‥」
「大丈夫だよ、気にしない!場所はね…うん、大体は。」
そっか、なら良かった。五十人超えの団体さんだもん、言ってから心配になってたんだよね。