第85章 暦
「…おかしな事はしないでよね?」
「ん?あぁ、任せろ!四月一日だな!」
「うわっ、何する気!?本当やめてよ?」
国永の頬を摘まんで嬉しそうに笑うこいつは、向こうへ帰れると解ってか、憑き物でも落ちた様だ。
「……あと半月程、か。」
‥それは良かったが、暫く戦場を離れていたからな、腕が鈍っていそうだ。
「伽羅ちゃん?」
「‥いや、それより良いのか?あんたの特別を祝うんだろ?」
「おぉ、そうだそうだ!さっき考えたんだが、こんなのはどうだ?」
本を開き、とんとん、と開いたそこに載っている花の絵を叩く。
…誕生日、とは何をするんだろうな?また光忠が喜んで色々作りそうだ。まぁ、こいつが喜べば、あとはどうでも良いか。
国永の言葉に、頷く嬉しそうなこいつの頭をそっと撫でた。