第8章 帰宅と秘密
「そういえばキミ、ボクと戦いたいって言ってたよね?」
「ん?……あぁ」
ハンゾーとの試合の時呟いた言葉は、どうやらヒソカの耳にも届いていたようだ。私は笑った。
「まぁ、大した意味ではないんだけどね。ただ、ゴンたちと戦うよりかは楽かなーって。
ほら、ヒソカもカタカタさん……イル兄も、目的のためなら容赦しないでしょ? 逆にゴンたちは、相手が知り合いだったら、武器すらも握れなさそうだし」
すると、ヒソカは意外そうに
「ボクだってキミ相手なら容赦くらいするよ♡楽しみが減るからね」
と言った。それはつまり、後で殺す楽しみがなくなるといったところか…。つくづくヒソカらしい答えだと思った。私と殺し合いをしたところで、楽しくもなんともないと思うのだが、まぁいいだろう。
「ヒソカってさ、イル兄と全く逆だよね」
ふと、思ったことを口にした。まぁ、イル兄は暗殺者で、ヒソカは狂戦士であるので、違うといえばそうなのだが。
「まぁね♦ そういうキミもイルミと似てないよね♣ 外見はそっくりだけど」
私は髪こそは違うが、兄弟の中では1番イル兄に似ていると言われる。しかし、内面は多分似てない。私とイル兄は、兄妹ではこそあるが身を置く環境がまったく違うから、当たり前だ。
「そうだね。イル兄は優秀だから」
そんな私の言葉に含んだ笑いをするヒソカ。
「でも、後継者はキルアなんだよね?」
「そうだね。よく分かんないけど、キルはゾルディク家きっての才能があるとかなんとか。私から言わせれば、普通の可愛い弟なんだけどね」
「キミも才能はあるってイルミが言ってけど?」
ピキッと表情が固まるのがわかった。