第9章 あの人の大切な人
ついてきたのは、大きな総合病院。
受付で先輩は名乗り、中に入れさせてもらった。
さすが先輩・・・看護婦さんにもモテるんですね
【虹村】
「──親父」
部屋に入るなり、窓の外を見ていたお父さんらしき人に話しかけた先輩。
虹村先輩と似ても似つかぬ顔で、でもやっぱり面影はあるなぁと感じた。
【虹村父】
「・・・ん? そっちのお嬢さんは誰だ」
『はじめまして。三井はちと申します』
深々と頭を下げた。
異様な貫禄を放っていて、それでいて物腰は柔らかそうだった。
【虹村父】
「そうかそうか。それで、今日はなんの用事なんだ?」
【虹村】
「あー・・・・・・おまえ、なんなんだよ?」
『あ、そうだった。
・・・先輩のお父さんに、この眼を使わせてください』
一瞬、静まり返る室内。
ま、そりゃそうか
いきなりこんなこと言われても意味わかんないよね
『・・・えー、この眼じつは人の寿命が見えるんです』
そう言いながら琥珀色にする。
二人が同時に息を呑んだのがわかった。
『・・・それで、先輩のお父さんが不調だと聞いたので、少し見させてください』
琥珀色を強くした。
その瞬間、片目の視力がなくなった。
片方以外、見えなくなる。
この眼を使うと、こうなるんだ。