第30章 紫のお菓子
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・・・あ、また来た、あの子
でも、今日はなんか違う
紫さんじゃないや
黒髪の目付き悪い人だ
それに、あの子が持ってるカゴ、中身違う
いつもの重たそうな飲み物じゃなくて・・・
お肉や野菜、それにパンとか?
・・・夕飯とか朝ごはんの買い出しかな
それでもやっぱり、僕を手に取ってくれた
いつもの満面の笑みで
・・・あれ、おかしいな
温かさ、残ってる・・・
いつもなら、それを感じない間に次のお菓子に宿るのに
なんで・・・
『───いつもありがと』
────あぁ、
・・・まただ。
あの子の言葉が、僕を揺るがす
本来感じることのない感覚を、呼び起こしちゃう
・・・やっぱり、敵わないや
前から思ってたけど、あの子の笑顔も、こうやって聞こえてくる声も、
誰かを救うチカラがあるみたい
なんだか、自分のことじゃないのに嬉しい感じがする
なんでだろう・・・?
まぁ、いいや。分からなくても
今知っちゃったら、面白くなさそうだし
────僕、待ってるからね
キミの笑顔と、心に直接聞こえてくる声を