第22章 first story
『───え?───』
顔を覗き込まれ、咄嗟に頬に手をやった。
すると、濡れた感覚。
【桃井】
「はちちゃん・・・泣いてるの・・・?」
さつきちゃんの言葉で確信した。
わたし、泣いてるんだ。
無意識にボロボロ流れていく涙を止める術なんかない。
せめて流れないように上を向くも、止まる気配はない。
『・・・・・・・ごめん』
掠れた酷い声で呟く。
きっと、顔も酷い顔をしているだろう。
なのに、みんなは嫌そうな顔ひとつしない。
逆に、微笑んでくれてるくらい。
・・・無表情の人もいるけど。
【黄瀬】
「・・・はちっちが、謝ることなんか、何一つないんスよ」
【黒子】
「そうですね。
はちさんは、笑ってた方が可愛いです」
【青峰】
「テツに同意だぜ、俺も。
・・・だれも、お前のこと責めてねぇよ」
【緑間】
「・・・酷い顔なのだよ。
ほら、これで拭くのだよ」
【紫原】
「はちちんは、何も悪くねぇしー」
【桃井】
「・・・はちちゃん、泣かないで?」
【赤司】
「・・・お前が、帰ってきてくれて、本当に良かったよ」
【虹村】
「大丈夫だ。
俺たちはここにいる。
・・・お前も、俺たちと一緒にいるんだ」
・・・だから、泣くな
そんな言葉も、涙を増加させる台詞にしかならなくて。
ダメだな、こんなんじゃ。
辛い思いをするのは、これからのみんななのに。
わたしは・・・、笑わなきゃ
『───・・・うん・・・!!』