第27章 今度は選ぶ側
その、私の部屋の中で、見たものは…。
テーブルの上に広げられた、大量の紙と…写真。
どうやら、履歴書みたいだ。
私も、見覚えというか、1年程前に書いた覚えがあるもの。
1年シンデレラの、応募書類。
「社長、何を人の家でやろうとしてるんですか?」
「何って、書類選考だべ?」
「いや、当たり前のように言わないで下さいよ。そういう作業は事務所でやって下さい。」
この状況になった理由を聞いて、ただ呆れた。
なんで、私の部屋でやるのか分からない。
「大熊さん。君も、選ぶんだよ。聞いてない?」
「…え?聞いてないです。」
縁下さんから、この部屋でやる意味を説明されたけど、初耳の事で、目を瞬かせた。
途端に、縁下さんの顔が険しくなって。
「…社長。またか。ちゃんと、先に、連絡しておけと、何回言ったら、分かるんだ?」
社長の耳を掴み、一言一言をしっかり伝えるように、区切りながら喋っている。
「いってーな!今、力ちゃんが説明したから大丈夫だべ?ほら、選考始めっから、2人とも座れ。」
社長の方は、縁下さんの怒りなど気にしてない様子で、耳を掴まれた事にだけ文句を言って返す。
その上で、まるで自分の家かのように私達に着席を促した。