第9章 言葉より大切なもの
〈智サイド〉
ずっと隠していた翔くんへの気持ちがバレた…
まぁ、自分で口を滑らせてしまったんだけど…失敗した。
翔くんが俺の事を恋愛対象としてみていないのは分かっていた…でも実際翔くんの口から言われてしまうと正直かなりへこんだ…
今まで僅かな希望を持っていたものが可能性ゼロのはんこを押された。
それでも翔くんに負担を掛けたくなくてなんともない振りをした。
翔くんに忘れてくれとは言ったけど俺自身は翔くんへの気持ちを忘れることなんて出来ない…
それが出来てればとっくにやってるんだ。
これから先もこの想いを押さえ込まなきゃいけない。
今までと変わらないといえば変わらないんだけど…
翔くんにバレてしまった以上、更に行動を慎重にしないと。
本当なら避けられても当然なのにあの後も変わらぬ態度でいてくれた翔くん…
普通無理だろ…同性から、しかも嫌でも一緒にいなきゃいけない人間にコクられて今まで通りに接しろなんて。
優しい翔くんからは出来ないだろうから俺から距離をとってあげないと…
あ~、なんで口滑らせたかなぁ…気持ち伝えられなくても側に居られるだけでよかったのに。
俺はずっと常識人の翔くんが男からの告白を受け入れることはないだろう…そう思いながら翔くんを想い続けてた。
翔くんの相手が女性だったら納得できるし諦めもつく。
だから…翔くんに彼女が出来たら笑顔で祝福するから、それまでは好きでいよう…そう決めてたんだ。