第40章 * オマケSS集 *
* 夢だけで咲かないで、オマケ *
『ぁっぁあ…っいえ、やす―……っ!』
「…………っ!」
家康は引き付けられるように飛び起きた。
のどかな小鳥のさえずりが聞こえ……
今まで夢を見ていたのだと、気がつく。
「あれ……夢…………?」
確かに、この腕で舞を抱いた。
夢でも散々舞を抱いたけど。
きちんと現実でも、想いが通じ合い、舞を抱いたはずだ。
「……まさか」
何故か、それすらも不安に駆られる。
まさか今の今まで、長い夢を見ていたと言うのか?
すると、部屋の襖がゆっくりと開き。
そこから今の今まで夢に出てきていた本人が、ひょっこり顔を出した。
「家康、おはよう!起きた?」
「……おはよう」
「どうしたの?」
「舞、こっちに来て」
やたら真剣味を帯びた家康の声に、不思議がりながら舞が褥の横に座り込む。
家康は舞を引き寄せ、その体温を確認するかのように身体を抱きすくめた。
「家康…………?」
「舞、昨日俺、舞を抱いたよね?」
「へ?!」
「言って」
いきなりの質問に、舞は一瞬口ごもり……
消え入りそうな小さな声で言った。
「すごく激しく抱いたでしょう……っ?」
その一言に、思わずぷっと吹き出す。
そう、これはちゃんと現実だ。
夢ではなく、この手で舞を愛した。
「うん、そうだね」
「なんで?」
「ただ言わせたかっただけ」
「…もうっ」
そう言いながら、舞も背中に腕を回してくる。
家康はその小さな身体が愛しくて。
抱き締める腕に、力を込めた。
(愛してる、舞。もっともっと、愛したい)
止まらない愛しさだけが溢れ出す。
これが、まさか変な方向へと向かってしまう事に。
まだ知る由もなく。
終
多分、この先が。
《イケメン戦国》淫譚 ー 蜜咲紅篇 ーの
家康編に続くのかな?と想像してます(笑)