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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第39章 ベイビー*ロマンチカ / 豊臣秀吉




「わ……っ」
「うん、似合う。可愛いよ」
「……っ」
「えーっと、確か……」



南蛮からもたらされた文献で、確かこんなのがあった。



『騎士は姫の前に跪き、手を取って……』



秀吉は舞の前に片膝を立てて座ると、うやうやしくその小さな手を取った。
絶句する舞を見つめ……
そして、その手の甲に唇を押し当てる。



「…………っ!」



ちゅ……と唇を食ませ、舞の肌を堪能するように舌を這わせる。

その甘い味と匂いに、思わずがっつきそうになるのを堪え。
ゆっくりと唇を離すと、舞を見つめた。



「愛しい私のお姫様」
「……っ」









「私と、結婚してください」









―― ザァァッッッ!



瞬間。
一陣の風が吹いて、舞の艶やかな髪を揺らした。

その舞の呆気に取られたような表情を見て。
秀吉は、少し困り笑いで舞の手をもて遊ぶ。



「なーんてな、こんな感じか?」
「!」
「こんなの文献にあったなぁと…騎士と姫、だったかな」
「あ……」
「そんな呆けた顔するな」



『可愛い顔が台無しだぞ』
そう言葉を続けようとした時。

ポツリと天から落ちてきた雫が、舞の手を濡らした。



「ん?」



思わず空を見上げる。
すると、晴れているのにも関わらず、空からは雨が降り注いできているのが解った。




「雨?こんなに晴れているのに」
「……」
「舞、立て。雨宿り出来る所を探すぞ」



何も言わない舞の手を取り立ち上がらせると、荷物をまとめて走り出す。
舞は秀吉に手を引かれるまま、大人しく付いてきた。

ただ、表情は何故か拗ねたような、曇らせたままで……



「舞、大丈夫か?」



振り返って話しかけても、何も言わず。
口をつぐんだまま、視線すら合わせようとしない。





(舞…………?)





不思議に思いながらも、何か気に触るような事をしたか……
それだけが、秀吉の頭の中をぐるぐると回っていた。




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