第29章 vanilla 〜蒼き焔の行方〜 / 伊達政宗
「俺の言う事……信じられないか?」
舞は、ゆっくり首を横に振り……
細い腕を政宗の背中に回した。
「まさ、政宗ぇ…っ私……っ」
「怖かったな……でも、安心しろ。 俺が……忘れさせてやる 」
「……っ」
舞が息を呑んで、政宗を見つめる。
その瞳は潤み、傷つきながらも何かを期待しているようで……
政宗はその意思を組むように、優しく笑い、また口付けを落とし始めた。
「お前の全てを見せてくれ……傷も痛みも、何もかも」
「……っ、政宗…………っ」
舞はその優しい唇と、身体を這う手の温もりを感じて、そのままそっと目を閉じた。
政宗は帯をしゅるっと解くと、そのまま舞の薄い着物を、背中からゆっくり脱がせた。
真っ白な舞の背中には、いくつも打撲痕があり、それに混じって無数の噛みつかれた痕があった。
赤い花びらのような、男が自分を主張するその痕。
政宗は一つずつ指でなぞり、そして唇を寄せる。
「あ……っ政宗……っ」
「痛かったら、すぐ言え」
「痛くない、けど…っ」
「けど、なんだ……?」
その問いに、舞は答えなかった。
きっと、そんな痕を付けられた背中を、見られたくなかったのだろう。
政宗はそのあまりに痛々しい背中を撫でながら、優しく音を立てて吸い付いていく。
「大丈夫だ、こんな痕……俺ので重ねちまえば、直ぐに消える」
「……っ」
「痛かったよな、綺麗な肌が台無しだ……あとは、どこを触られた?」
「あ、脚とか、胸、とか……」
「じゃあ、一つずつ消していこうな」
背中の痕、全てに吸い付いて痕を上書きすると、舞の身体を転がし、真正面を向けさせた。
首に肩、胸、腹……
こちらも目を背けたくなるくらい、沢山の痕が付いていた。
ところどころは血も滲んでいるし……
政宗はそれらも一つずつ、指で優しく触れ、そして唇を這わせる。
ちゅ……っちゅぅ…………っ
部屋中に、甘い甘い水音が響き渡った。