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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第27章 不機嫌と暁の予知夢 / 織田信長






今日ほど、慌てたことは無い。



信長は馬を一目散に走らせ、安土城へと向かっていた。
秀吉が来たのは、知らせる為だけではなく、自分の代理を務める為だった。


全て任せ、早く城に帰ってくれと。
そして、舞に会ってほしいと。




『貴方だけの為に生きられなくなってしまいました』




はっきりと頭に残っている、夢。

あの夢は、予知夢だったのだ。
その確証を得るためには、一刻も早く舞に会わねばならない。



(舞…………っ)



信長は無休で馬を走らせ、その日の夜更け過ぎには、安土城へと到着した。

舞は天主に居るらしい。
取るものも取り敢えず、とにかく急いで向かう。

城は不気味な程、静寂に包まれていて……
早く舞の灯火のような温かさに触れたかった。





「舞……っ!」




天主の自室に到着すると、褥で舞が静かに横たわっており……
その横に居た家康が目を丸くして信長を見た。



「信長様、なんでここに」
「秀吉が早馬で呼びに来た。 運良く近くまで帰ってきていたのでな」
「成程、じゃあ話は聞いてますよね」
「無論だ」
「……舞、信長様だよ」



家康が声を掛けたのと同時に、信長は褥の脇に座り込み、舞の頬に手を当てた。

すると、まぶたがゆっくりと開き……
黒真珠のような澄んだ瞳が信長を見据えた。



「信長様……?」
「舞……」



頬を優しく優しく撫でる。
信長はそのまま手を滑らせ、舞の小さな手をやんわり掴んだ。



「舞、貴様……」



ゆっくりと口を開き。
少し震える声で、言葉を紡いだ。
















「子を……宿したそうだな」



















その言葉に、舞はほんのり頬を染め。
やがて、可憐な花のように微笑んだ。





「はい…………っ」




その顔は、見惚れる程に美しかった。



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