第6章 シェリー ──黒の気配
「あっ、そーだ!ねぇ新一、哀ちゃん。今度の土日、暇?」
「え?うん」
コナン君が頷くと、私は満面の笑みで言った。
「うちの大学のオープンキャンパス来ない?ちょっとしたミステリーを用意してるの♡」
「「ミステリー?」」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──第三者side
「あ、コナン君、みんな!こっちこっち!」
瀬里奈が手を振る。オープンキャンパスにはコナン、灰原、阿笠博士と少年探偵団、蘭、園子、小五郎の9人が来ていた。
「お誘いありがとうございます!」
「いえいえ。蘭ちゃんと園子ちゃんは久しぶりだもんね〜」
「瀬里奈お姉さまにお会い出来て嬉しいです!」
園子が瀬里奈に飛びつく。瀬里奈はそれを軽くあしらい、「私のサークルはこっちだよ、おいで」と大学内を案内してくれた。
「でもお祭りみたいに賑やかだね」
コナンが言った。瀬里奈がこくんと頷く。
「ええ。ここのオープンキャンパスって出店とかも出るからね。騒がしいけど楽しいよ。大学内も見学できるし」
と、灰原が怖い顔をして後ろを振り向いた。
「哀ちゃん?」
「あ……なんでもないわ」
灰原の反応に何かおかしいとは気づいていたものの、瀬里奈は「なんでもない」という灰原の言葉を信じ、先へ進んだ。
「はい!ここが我らがサークル、『ミステリー研究会』通称『ミス研』の部室よ」
瀬里奈が指したのは真新しいドア。ガラスの所には可愛らしい字で『ミステリー研究会』と書かれていた。
「これ瀬里奈姉ちゃんの字でしょ」
「えっ、なんで分かったの?」
「だって見たことあるもん、瀬里奈姉ちゃんの字」
コナンがニヤニヤしながら言った。
よもやそんな平和な時に、黒の者数名が瀬里奈をじっと見ていることなど──
誰も知らない。