第5章 突然の遭遇──
爆発が収まったあと、社員の3人がトイレ付近に向かっていた。
「あ!中島さんに上田さん、竹下さん!」
「あれ、瀬里奈ちゃん?何でここに」
上田さんが言い終わる前に、コナン君がトイレに駆け込んだ。
「お、おいボウヤ!」
「コナン君!?」
慌てて私もコナンを追ってトイレに入る。社員の3人も追ってトイレに入ってきた。
「うわっ、ひでーなこりゃ……」
「煙もすごい……ん?」
コナン君と私がほぼ同時に見つけたそれは──
「ねぇ新一、これって……」
「ああ、あの大男が履いてた靴だ……じゃあやっぱりあいつは……」
「この爆発に巻き込まれて……」
私はあえて最後は言わなかった。コナン君が拳をドカッと床に叩きつける。
「コナン君……外出よう?……悔しいのは分かるけど、ね」
最後はヒソヒソと耳打ちした。
やがて警部が到着した。やはり遺体の身元は分からなかったらしい。
「ボク見たよ!怪しい人は見なかったけど……死んじゃった人なら」
「ほ、本当かねコナン君!」
目暮警部が驚いたように訊いた。
「2mを越す大きなおじさんだよ!多分関西の人じゃないかなー……」
「あ、それ私も見ました。全身真っ黒の大男……」
私も口添えすると、目暮警部はまた驚いたような顔をしていた。
「でも関西というのは……」
目暮警部のもっともな疑問に、コナン君は大男が話していたことを話した。
「関西弁ね……あとジンとウォッカか……」
「瀬里奈、知ってんのか?」
「知ってたらこんなに苦労してないわよ。それに黒ずくめの奴らなら、とっ捕まえて情報を吐かせたかった所よ」
肩をすくめる私に、コナン君ははぁっと大きくため息をついた。
「もう事件に関わりたくないんだけど……帰っちゃダメかなぁ?」
「帰りたくても帰れねぇだろ」
「じゃあ新一が事件解決してよね?そうすれば帰れるからさ!」
スマイル全開でそう言うと、コナン君は「当たり前ぇだろ?」と言わんばかりのドヤ顔だった。
──最終的にはコナン君は無事に事件を解決した。犯人は竹下さんで本当は中島さんを狙っていたこと、だが中島さんは大男──テキーラと取引をしていたために中島さんでなく逆にテキーラが死んでしまったこと。
事件を解決したあと、中島さんと組織がよく取引に使っていたバーも爆破され、証拠は全て消滅した。