第11章 最後の言葉
その言葉にトシは何も言わなかった。
結局私のことは誰にも何も分からなかった。
だからヅラに頼ったのだ。でも、誰に聞くべきなのか、誰が一番私のことを知っているのかはわかっていた。
聞きたくない、会いたくない。
それはなかった。
でも、どうしても春雨にだけは戻りたくなかった。
もしかしたら京都に・・・・・・とか思っていたが、今は江戸にもおらず、春雨の母船に帰っているとの情報があった。
『知りたいけど・・・・・・行きたくない・・・・・』
土「・・・・・瑠維、今言うべきことじゃねぇが・・・・・言っとかなきゃいけねぇことがある」
並んで歩きながらトシはそう言う。
『何ですか?』
土「・・・・・伊東のことは覚えてるな?」
懐かしい名前が出てきたな・・・・・
『はい。それが・・・・?』
土「お前にその・・・・・・・参謀を任せたいと思ってる」
『はいいいいいいいいいいいい!?』
人目も気にせずに大声を出す。周りからは不審な目で見られるがそんなこと気にしている余裕はない。
『ば・・・・・バッカじゃないんですか!?頭正気ですか!?一応私、元攘夷志士ですよ?宇宙海賊の元提督ですよ?戦争引き起こした張本人ですよ!?』
土「んなこたぁ分かってる。でもなぁ、お前が俺に惚れてる限りバカな事はしねぇと思ってな」
『何ですか?その根拠のない自信』
土「お前、俺と別れて平気か?」
『いや・・・・・そりゃ平気じゃないけど・・・・・』
土「ならいい」
いや意味わかんないし。
土「近藤さんもとっつあんも了承してくれてんだ。お前は一応功績は立派に立ててるからな」
『・・・・・そりゃ、やることやって遊んでますから・・・・・』
土「考えといてくれ」
『え!?あ・・・・・はい・・・・・』
参謀かぁ・・・・・悪くないかも・・・・