第8章 つかの間の休息
じゃあ何だ?と変な目で見てくるまっつんに、門まで一緒に来て来てってお願いすると、メンドクセーなと言いながらもついてきてくれた。
松「門までの用事って何だ?」
「ん~っとね、紡ちゃんがオレに手荷物を届けてくれたんだけど、1人じゃ持ち切れないから誰か連れてきてってお願いされたからさ」
松「そんなもん、岩泉だっていいだろうが」
「諸事情により、岩ちゃんは頼まないんだよ」
松「なんだ?ケンカでもしたのかお前ら」
「う~ん・・・ま、そんなとこ」
全ての事情を話すわけにはいかないから、簡単に言い訳をする。
やがて門が見えてくると、そこには大きな影と小さな影が待っていた。
「ゴメンね、待たせちゃって」
そう声をかけると、逆に恐縮されて挨拶をされてしまった。
紡ちゃんは手荷物の内容を簡単に説明してくれると、重たいですけど・・・なんて言いながら手渡してくれた。
・・・ってか、ドーナツこんなにたくさん凄くない??
お兄さんからの差し入れですって手渡されたドーナツ屋さんの袋はズッシリと重く、その量には驚いた。
差し入れに対しても丁重にお礼を伝え、オレは2人に会ってからの疑問を、紡ちゃんのお兄さんに投げかけた。
「お兄さん、もしかしてイメチェンとかしました?この間と雰囲気が違うから」
そうオレが言うと、なぜか紡ちゃんは吹き出して笑い、お兄さんを見ると、
桜「あぁ、それはきっと弟の慧太ですよ。俺達は双子なんです」
えぇ~~~!!!
かなりビックリしちゃったよ!
オレは今日初めて会うお兄さんに挨拶をし直すと、
桜「良くあることだから、気にしないで?
弟は美容師なので、あんな風にお洒落っ気たっぷりだけど、俺は職業柄あんまり派手なのはちょっとね」
そう言ってお兄さんは笑った。
弟さんが美容師と聞いて、思わずお兄さんはどんな職についているのか尋ねると、それはそれで驚いた。
桜「俺?総合病院で医師を務めています。まだまだ半人前ですけどね~」
いやいやいや・・・
紡ちゃん・・・なんてハイスペックなお兄さん達を持っているんだ。
過去にご両親が医師だってのは聞いたことあるけど、お兄さんまで・・・
紡ちゃんが物凄く成績優秀なのは遺伝子からなのかと妙に納得する。