第37章 その先にある未来
繋「よーっし!今日はこれで終わりにすんぞ!体解して片付け終わったら集合な!」
「「 っス!! 」」
繋心の掛け声に何気なく体育館の時計を見れば、時計の針は普段よりずっと早い時間を指していた。
『繋心、もう練習終わりにするの?まだ全然いつもより時間早くない?』
転がって行くボールを拾い上げながら聞けば、繋心は今日はそれでいいんだと腕を組んだ。
繋「明日は待ちに待った大会が始まる。今日遅くまで練習したからって、どうにかなるモンでもねぇ」
『それはそうかもだけどさ・・・でも、』
繋「いいんだ、今日は。そんで軽くミーティングして明日に備える。早く家帰って、ちゃんと飯食って、睡眠取って・・・そういうのがいざって時に役立つんだ。お前も元選手なら・・・分かるだろ?」
もっと練習は・・・と言いたかったけど、コーチである繋心の言うことは・・・聞いといてあげるか。
繋「ほら、お前も片付けやって来い」
ポンっと私の頭に手を乗せて、グシャグシャと掻き混ぜる。
『ちょっと繋心!頭グシャグシャしないでよ!それから、子供扱いみたいのもやめて!』
繋「子供扱いみたいのって、お前子供だろーが!このチビッコ小学生が!」
『また小学生って言った!!繋心のハゲ!バカ!』
繋「お前こそハゲハゲ言うな!オレはハゲてねぇよ!」
『ハゲつる繋心だったじゃん!!』
繋「あれは坊主だっつーの!!」
武「お二人とも、仲良しですねぇ」
武田先生の声にハッと我に帰れば、すぐ横でニコニコとしながら私たちを見ている先生がいて・・・
『違います!全然仲良しなんかじゃありませんから!・・・か、片付けしよっと!』
ベーッと繋心に舌を見せて、まだアチコチに転がっているボールを集めに駆け出した。
いっつもチビチビ言ってホント繋心って意地悪!
私だって背が伸びてたらちゃんと高校生に見えるはずなのに!
旭「城戸さん、そんなにたくさんボール持ちきれないでしょ?オレも手伝うよ」
持っては落としを繰り返していた私に、東峰先輩が笑いながら落ちたボールを拾う。
『東峰先輩・・・先輩のその身長、私にも分けて下さい・・・今すぐに!』
旭「え?いや、どうやって??」
私の意味不明な言葉にキョトンとする東峰先輩を羨ましげに見ながら、なんでもないです・・・とため息を吐きながら、また、ボールを拾い上げた。
