第29章 ネコと呼ばれる人達
日向君が澤村先輩を振り返りながら、大きな声でそう告げる。
澤「あぁ、もちろん!いつからとか、そんなのは関係ない。紡は大事な、烏野バレー部のメンバーだ!だから、これからもずっと一緒に···突っ走って行こう」
『私はまた、立ち止まったり躓いたりするかも知れませんよ?』
今までだって、何度も同じ事を繰り返して···足を止めてきた。
旭「立ち止まったら、オレが手を引いてあげるよ。城戸さんがオレに、そうしてくれたように」
東峰先輩が大きな手をスッと差し伸べて、ちょっと照れながらも、お日様みたいな笑顔を向けてくれる。
菅「躓いて転びそうになったら、オレが抱きとめてあげる。ほら、こうやってさ?」
菅原先輩が両手を広げて、爽やかな笑顔を振り撒きながら一歩ずつ私に歩み寄ってくる。
清「セクハラ大王の制裁は、私に任せて」
菅「痛って!」
聞き慣れたスパーンという音と共に、清水先輩が丸めたノートを振り下ろして菅原先輩に軽く制裁を加える。
菅「清水!オレまだ何もしてないっての!」
清「予防策。乙女の危機を感じ取りました」
澤「ここにいるメンバー全員で、行けるところまで駆け抜けよう。俺達は誰だって、誰ひとり置き去りになんてしない···誓うよ」
西「大地さん、カッケー!」
田「オレは大地さんにどこまでも着いて行きます!!」
縁「あ~、お前達はちょっと黙っとけって」
縁下先輩が2人の襟を掴んでズルズルと引っ張って行く。
武「いいですねぇ、こういうのって。烏養君もそう思いませんか?」
繋「あぁ、そうだな」
『大地さん、それからみなさん。素敵なサプライズ、ありがとうございました!私、これからもチームの為に一生懸命頑張ります!』
思いっきり頭を下げて、心の底から感謝の言葉を伝えた。
「「 オーーーーーーーッス! 」」
みんなからの返事が、広い広い体育館に響き渡る。
私も、ちゃんとチームの一員なんだ。
そう思いながらまた熱くなる目を拭って、新しいジャージの感触を抱きしめた。
繋「よし!じゃあそろそろ練習開始しろ!」
澤「練習再開!みんな準備!清水と紡もドリンク補充宜しく!」
清「了解」
『はいっ!』
清水先輩と、さて、お仕事しなきゃですね?と笑い合い、散らばったスクイズを回収する。
音駒との練習試合は、いよいよ···明日。
