第27章 それから。
全てが終わった帰り道。
皆も今日は家に泊まる予定だ。
あの家で、皆と一緒に過ごす夜は最後かも知れない。
こんなイベントでもない限り、こうやって集まるのは難しい。
特に月島くんなんかは中々こっちに来れないし。
家に着くと皆着替えて、ラフな格好でリビングのテーブルを囲む。
誰が言い出した訳でもなく、当たり前のように冷蔵庫から飲み物を出して乾杯した。
「皆さん、今日は有難う御座いました。」
直接の知り合いじゃない、妹の結婚式の二次会。
断っても良かった筈のそれに来てくれた事には姉としてのお礼を言わなきゃならない。
「りらちゃんの妹だから、家族みたいなもんだろ。礼なんか言うなよ。」
「慶事にケチを付ける程、野暮じゃねーよ。」
「俺達はりらの家族も、大事にしたいんだよ。」
「冠婚葬祭は休み取る理由にもなるしね。」
誰も、仕方がないから、みたいな言い方はしない。
皆は本当に良い人達で、私にとって大切で必要な人。
私は、皆の事が…。
「大好き。」
思ったまま口から出た言葉と共に顔が緩む。
頭を撫でたり、抱き締めてきたり、過剰なくらいの愛情表現を受けながら分かった。
私は、幸せになって良い、じゃない。
幸せにならなきゃ駄目なんだ、と。
いつか恋して、結婚でもする時は、皆は絶対に祝福してくれる。
ここ数年、この人達と出会ってから私は変わった。
この人達が、変えてくれた。
恋愛や結婚だけが女の幸せだとは決して思わないけど。
臆病になって、恋をしないのは違う。
前に進んで、傷付いたって良いんだ。
その時に、絶対傍に居てくれる人がいる。
私を独りにしないでいてくれる。
だから、少しずつでも、一歩ずつでも。
幸せに向かって歩いていこうと誓った。