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【HQ】sharing.

第23章 仲直り


赤葦さんが安堵したように息を吐いている。
私が話を聞く意思を示しただけで、こんなにも安心するものなのか。
まぁ、確かに私と仲が悪いと、あの家賃がいらない家から出なきゃならなくなるからね。
多分、それだけ。
ご機嫌とり、したくなくても、私にはしなきゃならないなんて、この人達も可哀想だな。

「…りら、実家に帰りたくない、とか言わなかったよね。嫌だ、って言ってくれたら、妹の方に1人で帰れって言うつもりだったよ。すぐに実家に帰るのを決めたから、本当は帰りたいんだと思ったんだ。
ただ、意地になって帰り辛いだろうから、妹の味方をした。理由があれば、帰れると思って。
それが、りらを傷付けるなんて思わなかった。」

話が始まると思考を止めて、言われた通り耳には入れた。
返事は、返せない。
なんて返せば良いか、分からない。

思い出すと、妹には敵わないって先入観があってすぐに諦めていた。
確かに態度で嫌がっている感は出していたけど、口では拒否しなかった。
言わないで分かってくれ、なんて都合の良い話はない。

「りらが言ったみたいに、俺達のはただの押し付け。怒って当然だよ。…だけど、完全に拒絶されたらこっちの言い分も言い訳も話せないから。俺達と向き合って貰えないかな。」

言葉は無理でも、頷くだけでもしようか、それすら迷った。
喧嘩や言い合いで絆が深まる人達もいるけど、私達はどうなんだろうか。
結構、ぐちゃぐちゃと色々考えるマイナス思考に引かれたり嫌われたりしないだろうか。

「‘喧嘩になったら止めてやる’って誰かさんのお得意の台詞デショ。言い合うのが怖いとか、変な事ばっか気にして、僕達に遠慮したってりらに得はないと思うケド。」

月島くんが木兎さんを見ている。
ちゃんと話をしてくれって言いたいんだろうけど、素直じゃないな、この人。

「ちゃんと話し合いするつもりがあるから、此処にいるんで。」

今、2人にだけ話しても意味がないからって素っ気なくしか返さない私も相当素直じゃないと思った。
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