第7章 アルバイト
‐きとりside‐
りらは、ちょっと普通とは感覚ズレてるし、扱い辛いかも知れないけど。
見た目スペックは、上の上。
更に言うなら、花丸あげたいくらい家事が得意。
性格も、やっと拒否とか反抗を覚えてきたけど、基本は従う昔の女タイプ。
私が男なら、マジでりらと結婚したいレベル。
そんな、あのコが選ぶ男は私が認めるヤツじゃなきゃ嫌だ。
んで、今のところ、私が認られるっていったら、やっぱりこの家の面子だった訳で。
出来れば、私が転勤する前に誰かと付き合って欲しかったのが本音。
私がいなくなったら、りらは頼る人がいなくなってしまう気がして。
だから、まぁ私の中で一番頼れる男とデート紛いの事をさせた訳だけど。
そんな事しなくても、良かったのだと気付いた。
「なぁ、りらちゃん。今度は俺ともこーゆーの撮ろうぜ?」
「じゃあ、俺とも撮って。皆と同じ事をするのは、抜け駆けじゃないからね。」
「何気に俺をディスってね?」
「はっきり言われないと分からないんですかぁ?赤葦さん、わざわざオブラートに包んでくれたんですよ。黒尾さんが抜け駆けしたって、僕達は思ってマス。」
食事を囲む輪の中で、話題にあがるのはりらの事ばかりで。
この家の住人に可愛がられているのが分かる。
これなら、大丈夫。
りらが頼るのが苦手でも、何かあったら誰かが気付いて、助けてやってくれる。
安心して、この家を空けられると分かった夜だった。