第4章 1st Night 【フェンリル・ゴッドスピード】※R-18
「あ…一応順番なんとなく決めてきたんだけど、そういうの先に知っといた方が安心するか?」
ミートパイをぺろりとたいらげたフェンリルは
特に深刻な様子もなく、レイアに尋ねた。
「あ……えっと…」
「毎回どんな奴が来んのかビクビクするより、ちょっと知っといた方が楽じゃねーか?」
フェンリルのあっけらかんとした口調が
深刻さを消していく。
「……うん」
「だよなー!あ、俺たちの仲間は変な奴多いけど気のいい奴ばっかりだから安心しろよ!」
フェンリルは冷め気味の紅茶を飲んでデザートに取りかかった。
「…ルカ、腕上げたな…うめぇ」
「え、ほんと?」
ミートパイを食べ終わったレイアもデザートを口にする。
「うわ……おいしい!!」
「だろ?黒の軍は毎日ルカのデザートが食えるんだぜ」
フェンリルはそう言ってにこっと笑う。
フェンリルの話によると
明日以降、月小屋にやってくるのは
ルカ、セス、シリウス、レイの順番らしい。
「ルカは大人しいけど根は優しい、いい奴。セスは怪力オネエ、シリウスはおっさん、レイはぶっきらぼうだけどまぁいい奴だ…俺の相棒だからな」
フェンリルの一言紹介にレイアは吹き出してしまう。
「怪力オネエとおっさんがとっても気になるけど…」
「だろー?まぁ悪い奴じゃないからな!」
「…フェンリルは一言で言うなら?」
「え?俺??俺はそうだなー…ガンマニア?」
「そうなの?」
「ああ。俺の大事なもう一つの相棒はこれ…」
フェンリルの腰元には銃がおさめられている。
(ああ、やっぱり「軍人」なんだな)
レイアは改めて実感する。
「ごちそうさまでした!フェンリル、ありがとう」
「どういたしまして…礼なら明日ルカに言ってくれよな」
「そうだね」
レイアは食器を重ね、流しに運ぶ。
「こんなにおいしいなら、明日レシピ教えてもらおうかな…」
レイアは呟きながらお皿を洗い始めた。
「…なんか、ごちそうになってばかりも悪い気がするから、明日は私も何か持ってきた方がいいかなぁ」
急に静かになった背後に投げかけるようにレイアが言うと
「えっ…」
急に背後から
フェンリルの腕に抱きすくめられた。
落としそうになった皿を握りしめ、固まる。