第10章 Coke scene3
ぐびっとまた酒を飲んだ。
「私では教えてあげられなかったことを、小野くんは教えていってくれた…」
ぎゅっとガウンを掴むと、ママさんはポロリと涙をこぼした。
「あの当時は…なんで神様はカズヤにばかりこんな試練を課すのかと…恨みましたよ…」
「そんなことがあったんですね…」
「親に捨てられて、恋人に先立たれて…まだあの子は中学生だったんですよ…なのに私は…」
あとはズルズル泣いて、ママさんは喋れなくなった。
「すいません…あの頃のことは、ホント…」
「ええ…ありがとうございます…実はカズヤが昨日…初恋の夢を見たって言って、泣いてたもんで…」
「え…?」
「だから、気になってて…」
「ニノ…」
「そんなことが…あったんですね…」
ママさんは急に立ち上がると、奥に入っていった。
すぐに紙を持って走ってきた。
「あの、これ…」
「なんでしょう」
「小野くんのお墓の場所です」
「えっ!?」
「落ち着いたらカズヤと一緒に行こうと思って、調べておいたんです…もしよかったら…」
翔さんは微笑んで、その紙をママさんに返した。
「え…?」
「墓参りは、ママさんと行ったほうがいい気がします」