第14章 トッティメモリアル
赤塚ドームシティは祝日で三連休ということもあり、尋常じゃない賑わいを見せていた。
混雑を避けるため、二人は早めのランチを食べてからウロウロとショッピングモールを歩き、ゆめ美のお気に入りのショップに入った。
「トッティ、これどう?」
「へーぇ可愛いー!!でもでも、ボクはこっちのワンピの方が似合うと思うなー」
「ピンクかぁ。私に似合うかな…」
二人は今、服を選んでいる。女子力の高いトド松の得意分野だ。
「いつも落ち着いた色が多いから、敢えてこーゆーのも着てみなよ。色もそこまでどぎつくなくて淡い感じだから、合わせやすそうだしさ」
「トッティさすが!なんか店員みたい」
「へへっ、じゃあボクがユメの専属スタイリストになってあげるー!」
「あははっ!そしたら私服がピンクばっかになりそう!」
普通の会話。普通のイチャコラ。普通でない兄達の姿は皆無。
(こ・れ・だ・よ!!これがボクの追い求めていた世界だよぉぉおおお!!!!)
誰にも見えないよう、小さくガッツポーズを取り、くるりとゆめ美へ向き直る。
「トッティ、こっちの色違いも可愛くない?」
「うん、水色も似合いそう!両方試着してみたら?」
「わかった」
ゆめ美は二色のワンピースを持ち、店員に声をかけて、試着室へと入って行った。
ゆめ美の試着を待つ間、トド松は小物類を眺める。
ピアス、ネックレス、ブレスレット…。
ゆめ美が好きなブランドは、シンプルなデザインが多いようだ。
(あんまり派手なのは好きじゃないのかな。なら、これとか好きかも)
トド松は、ストーンが施された、小花のモチーフが愛らしいネックレスを手に取った。
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