第40章 最近幼馴染みの彼女が可哀想
日がかわり、彼女はぼろぼろな顔で外に出てきた。
可哀想に目は真っ赤に腫れ、目の下はくまが出来ている。
前の主人との話を聞いた、というのはアイツからも聞いていたが、更に本人から色々聞いてみると、幼馴染みが浮気している気がするということだった。
浮気とまではいかないが、あながち間違いではない…。
小さいながらも女の勘は恐るべし。
自分の肝にも銘じることにした。
どうも俺が思っているのとは違って、なんでも自分との待ち合わせ中に、違う女とキスした、なんて言ってたが、そんなことあるわけない。
もしこの娘を裏切るようなことがあるんなら、長い付き合いと言えど、それは憤慨に値する。
なんなら城から追い出す勢いだ。
その夜に帰って来たアイツを待っていると、深夜少し過ぎに戻ってきた。
それまで俺は、ルルを見過ごせず、すやすや寝息が聞こえるまで傍にいた。
今にも消えてしまいそうな状態で、なんとなく目を離せなかった。
「どうだったんだ?」
「何かお怒りですか?」
「答えに寄ってはな。」
淡々とヤツの報告を待った。
「…纏めますと、例のケセドニアの遊郭にいた娼婦でした。
幼い頃にそこに出されて、そのままそこで暮らしているそうです。
そこに、ルルさんが入所したと。
それで、恋人同然だった客を取られ、逆上し、私と彼女を別れさせる為にこれを仕組んだそうです。」
「…あの主人は関係ないのか?」
「決定的な犯人ではありませんね。
そのお嬢様が資金源だったそうですが、お嬢様が脅して写真を撮らせたそうです。」
ヤツは両手をパン、と鳴らすと、
「全て解決しました。」
と笑顔で言った。
「忌々しい年増の女性を相手にしなくて良いとなると、なんと晴れ晴れした気持ちになるんでしょうか…。」
全世界の女性に詫びて欲しい発言を残し、アイツは浮き足だって部屋を出ようとする。
「1つ聞きたいんだが、情報収集以外でルルを泣かせるようなことはしてないんだな?」
「当たり前じゃないですか。」
「その誤解、ちゃんと自分で解けよ。」
よくわからない、と言った顔をしている親友を見て少し安心した。
無意識にそんなことするようなヤツでもねーし、その辺は大丈夫だろう。