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ハイキュー 夢主攻め※R18

第44章 岩泉/キミに夢中!*イベント小説※キスのみ



春先に出会った男の人。

岩泉一

その名前を私は忘れない。



「ない…ない!!」

ガサガサと長い草をかき分ける。
手が草で切れて、血だらけに
なってしまっていた。
こんなにも必死に探しているのは、
私の宝物の、お守り。
アレは、引っ越した友達から
貰った手作りのお守りなのだ。

「ないよ…ないよぉ!」

泣きそうになる私に、ある男の人が
駆け寄ってきた。

「…どうした?」

「え…?」



「ほら、あったぞ」

「ありがとうございます!
ありがとうございます!!
ありがとうございます!!!」

何度も頭を下げた。何度も
お礼した。だけど足りない。

「よかった…あの…お名前
なんていうんですか?」

その人は、通学カバンを持つと
岩泉一 と言い残し 去って行った。

私はあの人の名前を一瞬たりとも
忘れたことは無かった。



そして、ようやく見つけた。
青葉城西高校に入って、
その人を見つけた。
1個うえの先輩。

「バレー部…なのか」

私はバレーの事は知らないから、
入っても意味は無いな、と
帰宅部にマルをつけた。

それでも気になって、少し
練習を見に行くことがある。
カッコイイ姿を見て、ますます
好きになってしまう。

(あの日から忘れられない…)

それでも遠くから見つめて
いなければならないって思っていた。



それは突然の出来事だった。
理解出来なかった。
理解しようが無かった。

「あん時の…女…だよな」

「は…はい 岩泉先輩」

帰り道に呼び止められた。
返答する私に先輩はふわりと
笑ってくれた。

「名前 覚えててくれたんだな!
お前の名前…なんだっけ?」

そう問われて、私は

「苗字名前」

と答えた。

岩泉さんと仲良くなれた。
それだけで本当に嬉しかった。
それから、岩泉さんの事が
ますますすきになっていった。

「岩泉さん…」

「ん?」

「岩泉さんは…好きな人いますか?」

「…まぁ…な」

ズキリと胸が痛くなった。
あぁ、失恋てこんな感じなんだな…。
涙が溢れそうな私に
信じがたい声が聞こえる。

「俺の隣に……」

「へ?」

「俺は…お前のことすき…」

赤くなる岩泉さんが、
恥ずかしそうに腕で顔を隠す。

「嘘でしょう?」

「ホント…!」

信じられなかった。
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