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【ONE PIECE】 海の娘 ウミノコ

第2章 海軍本部










初めて見たは、全身血だらけだった。
ほぼ返り血だったが、その身体は血を失った様に真っ白で付着する血を神々しく見せていた。

連絡を寄越したセンゴクのあれ程の焦りはもう見れないだろう。
医者では無い俺にどうにかしろと、嘆くセンゴクに言われるまま対面したのだ。

心拍、血圧、呼吸、全てが死に向かっていた。
負った傷も凄まじかった。

でも、何故だろうか。
この女は死なないと思った。
輸血しようとする医師を止め、傷口の治療を優先させた。

心臓が止まろうとも無理矢理続けさせ、処置させた俺は女を船に乗せた。

言い訳は簡単だった。
死体とも言える女を俺は船に乗せ、行き先など無く只々、海に浮かんでいた。

船に居たのは俺の息が掛かった者ばかり。
他言無用、言わずとも伝わる者だけだ。

3日目の夜中。
突然、動き始めた心臓。
機械で無理矢理動かせていた心臓が息を吹き返した。

今の医学では到底証明出来ない事。
だが、女は生きている。

感動的だった。
人体の神秘。

俺は一瞬で夢中になった。
この碧い瞳を持つ美しい少女に・・・






『・・んっ・・・』

重なる唇から微かに漏れた声。
そっと離した唇がもう既に恋しい。

『・・ベガッ・・・』

瞳に浮かぶ涙が溢れぬうちに唇を這わせる。
俺だけが見る、の涙。

「大丈夫だ、全て俺が受け入れる」

だから安心して泣け と、伝えれば堰き止めていたモノが跡形も無く消えた様に瞳を滲ませる。

『・・ベガッ・・・ベガッ・・』

泣きながら俺の名を口にするをこんなに愛おしいと感じたのは初めてだ。

最初は、ただの好奇心。
稀血を持つ実験体欲しさ。

いつからだろう、やはりあの涙を見た日からだろうか。

俺の中でのの立ち位置がガラリと変わった。

どうすれば笑ってくれる
どうすればそばにいられる
どうすれば手に入れられる
どうすれば俺だけを見てくれる

今までの人生、研究ばかりを考え、それ以外はいらなかった。
だが、今はもうの事を考えるだけで手一杯だ。

今夜だけ
そう、言ったには悪いが1度手に入れたモノを手放すつもりはなかった。





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