第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~
「こんなもんか? もう出てこねェな」
体の中に残っていた精液はほとんど出したから、もう不快感はないだろう。
熱も下がっているし、これでゆっくりと寝れるはず。
「よし。じゃあ、もう寝ろ」
「・・・え?」
「風邪を引かねェよう、なんか着てから寝ろよ」
「ち、ちょっと待って下さい。貴方は?!」
「おれは床で寝るからいい。気にすんな」
「違います、そうじゃなくて・・・!」
娼婦は慌てて身体を起こすと、手を洗うためにシャワー室へ向かおうとしていたゾロのシャツを掴んだ。
「私も貴方に何かしなければ」
「あ?」
「もし私の身体に挿入するのを汚いと思うなら、手ででも口ででもお相手します」
すると、ゾロは怪訝そうに娼婦を見ながら口を開いた。
「気持ちはありがたいが、女を抱きたいと思うほど煩悩に駆られてねェ」
「・・・!」
仮に、心に決めた女性がいたとしても、目の前に裸の若い女がいれば、男は少なくとも“反応”くらいはするはず。
ましてや、ゾロは娼婦の膣に指を差し込んでいたんだ。
それなのに、彼の股間は“反応”の片鱗すら見せていない。
「じゃあ・・・なんで私を買ったの?」
「なんでって・・・ここは、女を買わねェと泊まらせてくれねェんだろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「たまたまお前が目に付いただけだ。分かったら、さっさと寝ろ」
手を洗ってすっきりしたのか、テーブルの上に置いてあったウィスキーのボトルを掴み、いそいそと飲み始める。
そんな男を前に、娼婦はあっけにとられていた。