第2章 TULIP
『・・ごめん、ありがとう』
「大丈夫か?」
身体を立て直した私は、まだ腰にあるゾロの左手に顔が紅くなるのを感じた。
恥ずかしさいっぱいの私に気付く事なく、ゾロは心配そうに訪ねてくる。
『だ、大丈夫ッ!』
バチッと視線が絡み合う。
何故かより一層頬が朱色に染まると先にゾロが視線を彷徨わせた。
そろそろ離して欲しいと恥ずかしさが募る私の気持ちに気付く事なく、ゾロは左手を腰に当てたまま。
『・・ゾロ・・?』
胸の高鳴りが聞こえてしまう!と私は、ゾロの名を呼んだがゾロは一点を見詰めたまま、右手をそこに伸ばした。
階段の端を彩る花。
店内と同じ様に白で統一された階段に沿うように活けられた花はその存在を存分に発揮していた。
その中から、1本取り出したゾロは私に差し出す。
『えっ?私に?』
勝手に取っても大丈夫なの?と疑問が頭を掠めたが、無意識にその花を受け取ってしまった。
「明日には、次の花に差し代わるから問題無い」
毎週金曜に活け変わるらしい花達。
まだまだ綺麗なのに処分されるのはあまりにも可哀想だ。
『ありがとう』
「・・・あぁ」
えっ?ちょっと何でその顔?!
普段貰わない花に私は嬉しくなってニッコリ笑いお礼を伝えた。
ゾロは、ニャっと口角を上げるだけの微笑ではなく、今まで見た事無い笑みを浮かべたのだ。
オマケ→