第24章 CHINESE MILK VETCH
『・・私もです。
でも、前に進まなきゃと思って』
そう思って思い出の場所に来た。
通りたくない道路を通って、見たくもない花が飾ってある階段を降りて、思い出が詰まったお店に足を踏み入れた。
「・・やはり・・・」
『うん?何か言いました?』
「いや、何でもねぇよ」
そんな私達を見てかエースは、嬉しそうな表情で話し掛けてきた。
「ドフラミンゴさんは別れた事知ってたんすねッ」
「本当?!私より先に?!」
『えっ、あっ、うん・・』
微妙に気まずい。
「たまたまだ」
確かに
あの場所に辿り着かなかったら
あの場所にドフラミンゴがいなかったら
知られなかった事。
「ずるーい。
私が親友なのにさっき聞いたばかりだよ」
「何だ、俺焦って電話する必要なかったじゃん」
電話?
えっ、誰に?
『もしかして・・
ドフラミンゴさん、エースから電話もらって来てくれたの?』
「・・・」
否定しないドフラミンゴ。
これは、肯定と取っていいだろう。
エースもしまった! という表情をしている。
『何かすみません。
いろいろご迷惑かけてますよね、私』
「近くにいたから、お姫さんの顔でも見て帰ろうかと思っただけだ」
それでも嬉しかった。
「そうだよ、エースももっと客である私を大切にして」
客・・?
あぁ、客か・・
そっか、そうだよね。
私はゾロの元恋人である前にこの店の客。
その客が再度来店したからフォローしに来たまでだよね。
ドフラミンゴさんとは、社長同士が知り合いで私はハンコックの友達。
蔑ろには出来ない存在。
そうだった。
ドフラミンゴさんは、あの時も私を客として扱ってくれていた。
そうだったんだ。
お姫さんと呼ぶのはただの愛称、ドフラミンゴさんの揶揄い相手。
そう思うと、何故か胸にポッカリ穴が空いた様な気がした。