第9章 EP海常2 残念なイケメンと中型わんこ
「あ、嫌。だったスか?」
しょぼんとした様子で尋ねる黄瀬くんに罪悪感が
「嫌ではないけど」
でもバスケ部の先輩方を差し置いて和泉っちって呼ばれるのもなぁ。
あ、でもっちってつけたら笠松先輩に蹴られてたような・・・・・・
「バスケ部のオレたちが呼ばれてないのを気にしてくれてるのか? 君は謙虚だな。」
謙虚ではないと思う。
「そうだ。なら、バスケ部のマネージャーにならないか?」
「は?」
マネージャーになれば、気にしなくても済むって意味だろうけど、桃井ちゃん的な意味では確かにそうだ。
「あ、それいいっスね」
黄瀬くんも笑顔で同意してるし。
「勝手に話を進めないでくれ、僕はマネージャーなんかしたことない。」
バスケを見るのもやるのも好きだが、それでマネージャーを出来る程甘くはないだろう。
「大丈夫だ。そこは手取り足取りオレが教えよう。」
「あ、森山先輩ズルいっス。和泉っち先輩オレも教えるス」
何故かもうマネージャーやるって流れなんだが、、、
「笠松先輩は大丈夫なのかな。」
「同い年なのに先輩をつけられるって不思議な感覚だよな。」
つい、癖でまた先輩をつけてしまい。
そう尋ねれば森山先輩は憐れむように呟いた。
「まぁ、大丈夫じゃないか。失礼な話だが笠松も和泉相手とは普通に話せてるみたいだし。」
それは確かに女扱いされてないんだろうな。
乙女ゲームの攻略対象になってるのに、女性がかなり苦手なのは変わってないし。
だからこそ失礼な話。なんだろう。
「そうかい? まぁ、見学くらいなら・・・・・・」
「あぁ! 是非来てくれ」
「待ってるっスよ」
2人が笑顔で相槌を打つと同時に、チャイムが鳴り響く。