第2章 サクラ散る頃
「…で?言い訳があるなら聞いてやる」
古典の授業をさぼりまくって、土方先生に呼び出されてた…のだけど、行かなかったら…(忘れてたんだもん)帰りのホームルーム終了のチャイムの直後…
「3D苗字夢主(姉)、5分以内に俺んとこ来い。」
とかいう恥ずかしい校内放送が流れてしまった…。
もちろん総司はひーひー言いながらお腹抱えて大爆笑。
クラスの女子からは冷たい視線。
一部の女子からは「わざとでしょ?」とまで言われた。
そんなこんなで、目の前には眉間にシワを寄せて、鬼のような顔をしてる土方先生がいる。
授業に出ない言い訳なんてあるわけない。
土方先生から出てくる言葉は全部、もっともなことだらけで、何も言うことなんてない。
「…………ちょっと待ってろ。」
土方先生が他の先生に呼ばれて、どこかへ行ってしまった。教員室の土方先生の席に取り残される。
はぁ…情けない…。きっと放送を聞いた一君は呆れてるよね。
ちゃんと授業出なくちゃ…。
「苗字さん。」
日本史の伊東先生に名前を呼ばれ、振り返る。
「あなたほんとにどうしようもないわね。ずっと授業に出なかったんですって?…私の授業に出てるのは、甘えられないからかしら。」
何言ってんだろ。この人…
「日本史は好きなので…」
「あらそう。それにしても、その髪の色、いつになったら黒くなるのかしら?」
ああ…はじまっちゃった。
「斎藤君が不憫で仕方ないわ。」
え??
「知らないとでも?あなたがたぶらしてるって話よ。」
たぶらかす?何言ってるの…この人…
この先生には、入学した頃から怒られ続けてる。
だけど、なんで一君とのことまで…
「…先生、呼び出したのは俺です。」
土方先生の声に、
「ごめんなさいね。土方先生も言いたいことでしょう?先に言ってしまったわ。」
「……ああ、…そんなくだらねぇこと思いつきもしませんでした。」
そう言ってから、場所移動するぞ、と、言って教員室から出ていく。
その背中を追って、私も教員室を出た。