第18章 Graduation… ♥︎ 〜大将優〜
大将くんの目の前まで歩いて、少しだけ彼を見つめる。
授業中何度も思い描いていた彼との生活は、もう二度とない。実現することじゃない。
何も話せないのとは裏腹に、涙ばかり溢れて、あっという間に頬を伝い落ちた。
「なんで泣いてんの」
『……っ、私、私ね…』
尚も溢れる涙を抑えることも出来なくて、嗚咽混じりに言葉を紡ぐ。
『ずっと…っ、大将くんが好きだった…。でも、もう…今日で全部終わりにする、つもりで…』
そこまで聞いて、大将くんが私の頬を流れる涙を指で掬いながら、言った。
「ありがとうな、今まで」
本当にもう全部終わるんだ。
気持ちが溢れて、どうしようもない。
卒業式だって、このままじゃ出られない。
私の高校生活は全部…。
全部、大将くんでいっぱいなのに。
『ひとつだけ、お願いがあるの…』