第7章 【切】それは不毛な恋でした/赤葦京治
彼と目が合った瞬間、私は恋に落ちた。俗に言う、一目惚れというやつだった。そして、私は恋に落ちた瞬間失恋した。
彼こと、赤葦京治先輩は、二年生乍にして、バレーの強豪校、梟谷学園の正セッターであり、副主将、二年生唯一のレギュラーである。十六歳にして、落ち着いた物腰、冷静かつ、落ち着いた雰囲気。知的な顔立ち、綺麗な指、スラリとした体。上げても上げても限りがない位出てくる赤葦さんのいい所。そんな彼に一目惚れをし、男子バレー部のマネージャーを志願した私は、欲の塊である。
そんな彼には、恋人がいた。同じく男子バレー部のマネージャーで、三年生の白福雪絵先輩。おっとりした性格でふわふわした雰囲気がなんとも可愛らしい先輩で、その可愛い容姿に似つかわない、食欲。美味しそうにごはんを食べる彼女の姿を見ると、見てるこっちまで幸せになってしまう。しっかり者の赤葦さんとおっとりした白福さん。実にお似合いのカップルだと思う。赤葦さんの全てを独り占め出来る白福さんが羨ましくてたまらなかった。私も白福さんの事は好きだし、心の底から二人を、応援なんてそんな出来た事は出来ないが、幸せそうな二人を見るのは好きだった。だから、私は自分の恋心に蓋をしていた。でも、ある事がキッカケで私はその気持ちの蓋を開けてしまった。