第28章 【甘】ストローに口付け/黒尾鉄朗
「ごめーん!お待たせ!先生超話長い!」
そう言って戻って来た友人は私が手にしたジュースを見て、それを私の手から取った。
「一口頂戴。」
「あ、ダメ!」
飲み物の回し飲みなんて、女子校生の当たり前。だけど、これはさっき黒尾さんが口をつけたやつ。黒尾さんが口をつけたジュースを友人が口にするのが嫌だと感じてしまった私は何処かおかしいのだろうか。友人からジュースを奪い返し、それを一気に吸い上げ、空になった紙パックをゴミ箱へと投げ入れた。
「なんでそんな顔赤くなってんの?」
黒尾さんが口にしたストローを口にした。それはつまり黒尾さんと間接キスをしたという事。そう思うと、心臓はさっきと同じ位早いリズムで脈を打った。
「…どうしよう、私ヤバイかも。」
「え、何?熱?保健室行く?」
少しカッコいい先輩位にしか思ってなかった筈なのに、どうしよう。どうやら私は黒尾さんのあの意地悪な笑顔の虜になってしまったらしい。
…ℯꫛᎴ
2016/11/17 Happy Birthday